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経済・仕事(知的財産・モノ作り)・科学、ポジティブシンキング(モチベーションup、メンタルヘルス)、地球環境、歴史、ゴルフ・野球、囲碁・・・手当たりしだいに理詰めで追求!
by hugoniot
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著しく非効率な特許業界 (ある知財コンサルタントさんへのメール)

 新入社員の頃、身の回りの新商品立ち上げが1件も他社特許に阻まれずスイスイかなっていることに疑問を感じました。膨大に出されている他社特許は全て特許性なしなのか?ということは全部ムダな出願だったのか?と・・・凄い世界だな~と感じました。
 外国審査で翻訳文が意味不明と判断されてボツになるケースもあるでしょうが、私は9割以上の出願に特許性がない、つまり先行技術との対比が不十分なまま出願していることを改善することが最も急務だと考えて、取り組んでいます。
 「発明と先行技術との対比が不十分」と申しましたが、これは身の回り(大企業の生産技術開発部門)では「先行技術調査量が不十分」と受け止められています。私も初めの3年はそう思っていました。知財部は出願時の発明者自己チェックシートで「先行技術調査は十分か?」という質問項目を設けています。これに対して「十分ではないが行った」に○をつける人が大半なのです。「十分」や「不十分」に○を付ける人は誰もいないのです。
 それを見て初めの頃は「答えが1つに決まってしまうような質問項目は意味ないなぁ。しかも先行技術調査が明らかに不十分と自覚している確信犯が「不十分」に丸をつけるわけないだろう(「不十分」に○をつけると出願してはいけないルールなのでますます)!」と馬鹿馬鹿しく眺めていました。
 しかし、私自らもだんだん第一線の技術開発に携わるようになると技術者の苦悩がよく分かるようになりました。先行技術調査が大事なことは頭では分かるけれども、どうしてもモチベーションが上がらない制度であること、にっちもさっちも行かない状況であることが・・・
 弊社では1件出願するとそれだけで1件あたり○円の報奨金が出る制度です。そういう企業は多そうですね。一見当たり前です。
しかし、マジメに先行技術調査した結果、自分のアイデアに近い先行技術があると更に一捻りも二捻りもして先行技術との差を作り出し・文書で進歩性をアピールしなければなりません。その面倒な(考えようによっては楽しい、と私は思うのですが・・・)知的作業をしてもしなくても出願1件=○千円の報奨金額は変わりません。
 また、もし自分のアイデアとあまりにもそっくりで進歩性をアピールしようがない先行技術が見つかった場合は、さすがに出願断念せざるを得ません。いくらなんでも酷似した先願があるのを知ったうえで、なお自分の小遣い○千円のために会社の金を数十万円もかけてクズ出願するのは気がひけるからです。
 また更に悪いことに「1日でも早く出せ」「今期のノルマは△件」という有言無言の圧力が現場技術者にのしかかっています。もちろん技術開発の納期がのしかかっています。
 このような状況で現場技術者が採る合理的行動は何でしょうか??火を見るよりも明らかです。”先行技術調査はそこそこで済ませ、出願時の自己チェックシートに「先行技術調査は十分ではないが行った」と書いて出願する。報奨金○千円はキッチリ頂く”です。

 出願するからには権利を取りたい、できれば広く取りたいということも重々承知しています。技術者はそんなにバカじゃありませんから。最初は広い請求項にして、落としどころを作ることも知財部から指導されます。そこで技術者が考え、知財部員も暗黙のうちに了承している最後の落としどころは「請求範囲を自分の担当商品だけに限って思い切り狭くするので、なんとかそこだけは権利を認めてください。審査官様~」です。狭くすれば権利をくれる確率は上がるだろう、という発想です。広くしようとすればするほど近い先行技術が加速度的に増加し、多面的に進歩性をアピールしなければならないからです。そのことをちゃんと言葉で表せるほど深く理解しているヒトは少ないかもしれませんが、少なくとも直感で技術者は感じています。
 「権利を広く取りたいのはヤマヤマだけど、担当商品を請求項から外すともう先行技術を調査する気力が湧かない。そんなことしても○千円は変わらないし・・・。登録された時に貰える△万円の報奨金額は請求範囲の広さ/狭さとは関係しないし・・・」ということです。

 そこで私の下した結論は、「評価制度(報奨金支払い基準)が悪い。これを根本的に改めない限り改善はない」ということです。逆に「報奨金制度を見れば、その会社の知財力が分かる」ということです。リエゾンマン(せめて先行技術の調査専門要員)がいるかどうか、知財部が自ら先行技術調査をする義務があるかどうか/現場技術者にやらせるのかどうかも、その会社の知財力を決定的な左右する要因になります。
 特許部隊で有名な電機業界C社、出願件数だけでなく請求項数で評価するなど発明内容の質に応じて報奨金額を変えているらしい自動車業界のT社が絶好調なのはさもありなん。彼らは知財体制も他社よりしっかりしているんですね。もちろん知財体制だけで業績が決まるとは思いませんが、儲けにこだわれば他社差別性の確保(特許を)避けて通れない→先行技術調査の負荷分散/現場技術者のモチベーションアップの仕組みが非常に重要だということに想到するのでしょう。少なくとも前記2社は「そのあたりまでちゃんと考えられる」論理的・戦略的思考を備えた人材を擁していたことが分かります。そんな人(リーダー)が少しでもいれば、その会社は強くて当然だな。。と最近感じています。

 先生がおっしゃるとおり、
外国でもきっちり権利を取って利益最大化→外国出願の明細書完備→元の日本語を外国語に翻訳しやすくする→そもそも元の日本語明細書の論理性アップ・・・が必要なことはよく分かります。最初にそのお考えを知った時に感銘を受けました。おっしゃるとおりです。
 この論理が行き着く先は、草の根の技術者ひとりひとりの論理思考力アップ&日本人技術者の話を理解してサラサラと日本語/外国語明細書を書き上げてしまう翻訳者を養成することになりましょうか。

 前者はなかなかキツイものがありますね。MEMODAS普及、TRIZ普及が突破口だと思います。既に取り組んでらっしゃいますね。私もTRIZ普及に情熱を注いでいます。難しいです。MEMODASを周囲に勧めました。ガッカリするほど反応が悪かったです。それでもTRIZ普及は諦めていません。あの手この手を尽くしてみます。少なくとも私は理解できたのですから、うまく説明すれば分かってもらえるはずだと信じています。

 後者はどうすればいいのでしょうね。技術者の論理思考力アップ→和文明細書の論理性アップはTRIZ普及を通じて達成しますが、翻訳の問題はいくらか残りますね。単語の翻訳ミスをなくすことが第一歩でしょうか? これは各国語の技術単語辞書を充実させることが解になりましょうか。これはPAT-Transerで達成可能かもしれませんね。スペースアルクの英辞郎や技術専門用語辞書メーカーなどとタッグを組めば、少なくても英語に関しては今でも既に十分かもしれません。早急に中国語版を作るべきかもしれませんね。
 あとは、一文が長いとどこがどこを修飾しているか分からなくなったり主語がないことが翻訳の阻害要因なんですよね? これは日本語の一文を短くする、主語を必ずつけるという指示を(少なくとも知財関係者に)徹底すれば撲滅できると思います。ここまでやれば問題解決でしょうか? 翻訳ならではの難しさはまだあるでしょうか?

 話は知財からそれますが、個人的には外国語を早く身につける方法に興味があります。NHKの最近の英会話講座はなかなかいいなぁと思ってます。イメージでとらえる英単語・・・100語で話せる英会話・・・これらをもっともっと研究して洗練すれば小学校から英語教育してもいいかも、と感じます。英語ができるにこしたことはありませんからね。2種類の言語を話せる人が多い国もあるのですから、日本人だってやってやれないことはないと思います。
ただ、今の学校の英語教育をそのまま小学校に下ろしてくるのは大反対です。中学から大学教養課程まで8年勉強してもちっとも話せませんし、書けませんから。読むことだけはできますが。。9割以上の出願がムダな特許業界の生産性・効率の低さもおぞましいですが、国民ほぼ全員×6~8年間受ける英語授業の効率の低さも改善する必要がありますね。渋滞による経済損失やら、W杯の予選敗退による経済損失などかわいいものだと思います。
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by hugoniot | 2006-07-07 02:41 | 知的財産
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